○ 公正証書とは、相続の際の慰謝料や養育費、財産分与などの支払い等の金銭の約束などについて、公証役場の公証人が法令に基づいて作成する公文書です。
○ 公証人は、元裁判官・元検察官・元法務省職員がなることが多く、長期間の法律実務経験がある人が法務大臣から任命されます。
○ 公証役場は、日本全国に約300ヶ所近く存在します。
○ 私人間の契約書はあくまで当事者間で定めたものなので、それをもとに強制執行することができません。すなわち、当事者間で相続協議書を結んだだけでは、合意で決まった約束を守らない相手に約束を履行してもらうために、必ず調停や裁判を起こさなければならないのです。
○ これに対して、公正証書は、判決と同一の効力を有するため、裁判手続きをする必要なく強制執行が可能です。特にお金に関する請求に関しては、「強制執行認諾約款付きの公正証書」を公証人役場で作成することをお薦めします。
第1 公正証書のメリット1
相手が定められた金銭を後から払わなくなることがあります。そのような場合に備えて、公正証書を作成しておけば、調停や裁判を起こすことなく強制執行ができます。
公正証書がない場合に、強制執行を行うには、裁判所に調停を申立てた上で合意するか訴訟を提起して勝訴し、判決を確定させる必要があります。初めから公正証書を作成しておけば、後々の問題回避策となります。特に、養育費については、一回支払われなければ将来分の養育費についても相手方の給与等を差し押さえることが可能になります。将来お金がもらえるために安心したいならば、公正証書の作成が必要です。
※ ただし、非金銭債権に関する内容は強制執行不可。つまり、お金を請求するもの以外は強制執行できず、例えば、建物を明渡すことなどは裁判手続きを踏まないと強制できません。
第2 公正証書のメリット2
一般に,公務員が作成した文書を公文書といい,私人が作成した私文書とは区別されています。公文書は,公正な第三者である公務員がその権限に基づいて作成した文書ですから,文書の成立について真正である(その文書が作成名義人の意思に基づいて作成されたものである)との強い推定が働きます。
後に、公正証書記載の文言につき争いとなり裁判になったとしても、裁判所はこれを争う相手方の方でそれが虚偽であるとの疑いを容れる反証をしない限り、その公正証書を証拠として直ちに採用できるのです。
このように、公正証書は、裁判になった場合の証明力が高いと言えます。
第3 公正証書のメリット3
作成された公正証書の原本は、公証役場において原則20年間保存されます。もし、本人が公正証書を紛失してしまったとしても、申請すれば再発行を受けることができます。また、公正証書の盗難や、偽造等も防ぐ事ができます。
第1 当事者本人が出頭する場合
※健康保険証など写真が貼付されていないものは、本人確認の証明書としては取り扱ってくれません。
場合によっては、夫婦の戸籍謄本と不動産登記簿謄本などが必要となります。
第2 代理人に行ってもらう場合
当事者双方が出向くのが原則ですが、代理人に行ってもらう事も可能です。
○ 公証役場に払う手数料は、以下の通りです。
目的の価額 | 手数料 |
~100万円まで | 5,000円 |
~200万円まで | 7,000円 |
~500万円まで | 11,000円 |
~1,000万円まで | 17,000円 |
~3,000万円まで | 23,000円 |
~5,000万円まで | 29,000円 |
~1億円まで 43,000円 | |
3億円まで5,000万円ごとに13,000円加算 | |
10億円まで5,000万円ごとに11,000円加算 | |
10億円を超える場合は5,000万円ごとに8,000円加算 |
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